Anticon / Music for the Advancement of Hip Hop

盤質は良好です。


まずあなたがヒップホップを嫌いというなら、その先入観を完全に取っ払って欲しい。もし本当に良質の音を感じることのアンテナをお持ちなら、絶対にこのアルバムは心に訴えかけてくるものがあるはず。Anticonとは、米国Bay Areaに本拠を置く、Alternativeなヒップホップを追求する集団だ。通常のヒップホップのフォームとはあまりにも違いすぎる彼らのスタイルは、むしろロックのそれに近い。ただのアヴァンギャルドになることは誰だってできる。フォームだけの問題だから。
しかしながら、Anticonのように、創造的でオリジナルなスタイルに、さらに極めて人間的な情感を乗せることに成功している例はなかなかない。Anticonはこのアルバムにおいて、普通のヒップホップでは殆ど聴くことのできない、人間的で内省的な感情までも表現の俎上に引きずり出し、音楽と詩という形に仕上げてくれるのだ。全米に散らばっていた、その土地土地の鬼才たちがであった直後に作られた作品だけあって、とにかく解放感にあふれたアルバムだ。「俺たちはどこにでもいける！」そんな声が全編に通底している。流行とかチャートとかとは関係なく、とにかく良質の音楽に出会いたいという人には、絶対お勧めのアルバムである。

1. Propaganda (Intro)
2. Rainmen
3. Untitled
4. Interlude #1
5. Savior?
6. It's Them
7. Interlude #2
8. Divine Disappointment
9. Meditations
10. Human Races The Tortoise
11. My Little Habit
12. Nothing But Sunshine
13. Interlude #3
14. Martyr Theme Song
15. Simulated Snow
16. Interlude #4
17. Holy Shit!
18. Bright Moments